ramenhenzinのブログ

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限定「豚骨清湯」 麺ハウス こもれ美

2018年9月25日 夕方 訪問

 

連休明けの火曜夜の為、売り切れの心配は無いだろうと想定も、来月「ヘルズキッチン一周忌法要、期間限定復活!!」という話題がツイッターで拡散している状況の極めて話題性に富んだ「こもれ美」のここ最近の人気は半端じゃないと不安になり早々実家を車で出発

 

5分程で到着(笑)

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17時30分
今日は駐車場に車が1台しか停まっておらず安心
VIP駐車スペースたるお店の真ん前の駐車スペースに止める事が出来て、限定「豚骨清湯」を発券

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入店すると1名のみ
お好きなお席をどうぞと誘導され「カウンター1番奥」へ着席

 

5分程で着丼

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奥様に「上に乗ってます、鹿児島の豚脂を途中で混ぜると味変を楽しめます」と言われて、提供されます

 

そのタイミングで奥様へ「豚骨、サンゴ礁の生息する海水を使用した鹿児島坊津の華(塩)、羅臼昆布のメニューとのツイッター情報ですが、こちらにうま味調味料は少々使っているのですか?」と質問

奥様が目の前の厨房の店主さんへ確認すると、店主さん自ら「坊津の華(塩)と羅臼昆布のマグネシウムをうま味調味料が完全に消してしまう為、うま味調味料は使ってないんです」との回答

「無化調なんですね。凄いですね」とらーめん変人が返答に答える

 

組み合わせから言って、明らかに無化調の方が合うと思ってたら、やはり正解

ミネラルを沢山含んだ塩に、グルダミン酸ナトリウム(結晶)の融合等「愚の骨頂」もいいところ
良い素材をあえて使って、良い素材の良さをあえて殺す(笑)という行為
あえて値の張る塩と昆布を使い、味の素で値の張る塩と昆布の旨味をあえて殺す(笑)という行為


「豚骨、塩、昆布」の組み合わせで、うま味調味料使うなら、塩は普通の塩、昆布もスーパーの値下げになった添加物たっぷりの品で良い
だとすれば、味の素の化調が味をまとめ上げるのではないかと思われます

「こもれ美」の店主は、上記のような並以下の事をする店主では当然ありません
むしろ、何にも属して来なかったが故の発想の柔軟性を、一杯に見事な迄に具現化する方です

「麺ハウス こもれ美」
作品によって化調と無化調をうまく使い分ける多彩な店舗です。なのでジャンクメニューから極清湯の一杯まで作品は多岐に渡ります。

 


「豚骨清湯」800円
https://youtu.be/EXMuAxDw_J0

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豚骨と昆布の火入れにより、少々白濁しながらも透き通った清湯スープ
中央には鹿児島の豚の背脂(銘柄不明)が乗っています
・しっかり火が通りつつも柔らかそうな小振りの豚バラチャーシュー4枚(麺屋十郎兵衛の豚バラチャーシューに更に塩気を漬けた味、塩気がパンチのある味変を演出)
・細切メンマ(薄味でシャキシャキ食感です)
・青葱とブツ切りの白葱が散りばめられております


〜背脂を混ぜずにスープをいただきます〜
血が抜け切る迄、下茹でをして処理された豚骨の出汁が無表情ながら、確かな下支えをしています
その下支えに当然のように乗っかるように、ミネラルを豊富に含んだ口あたりの優しい円やかな塩と羅臼昆布の透明ながらも奥行きのある旨味が、色のみならず味にも透明さを保ち絶妙な塩気で広がります
透明で広範囲拡散型の旨味波です
土台や底が見えやすい塩味を逆に上手く使っております
非常に勇気が必要な組み合わせです
自信がなければ無理という事でしょう

引き算美、シンプル美、味覚で素材の底まで認識出来て、非常に非常に美味しい清湯スープです

 

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〜麺を啜りましょう〜
スープから持ち上げますと縮れが施されており、色はクチナシ色素を含んだ黄色、ビジュアルからも明らかに多加水ですね
麺の長さは短そうです

啜りますと「ピロピロピロリン」と麺が短い理由で、すぐ啜りが終焉
縮れが入っている為「スルスルスルスル」とは行きません
「ピロピロピロリン」です(笑)

舌触りは多加水と縮れで、ツルっと突っかかるように流れて、食感にコシは殆ど感じません
まさに「ピロピロピロリン」が特徴的

加水率は軽く45%ぐらいに届いており、切り刃は20番手辺りでしょうか?
平打ちのような薄さは無いものの厚みもない平凡な角縮れ麺です

ちょっと麺が弱いなと思いましたが、このスープにはどの麺が良い?となれば、この「ピロピロピロリン麺」でも別に良いなと納得


加水率35%中加水、切り刃20番か22番の「スルスルシコシコ」ストレート麺が正当にピッタリはまるでしょう
それか、先日食べた魅惑の麺「中華そば 上々」の「異次元プリプリプルプル多加水手揉み縮れ太麺」で、スープ主体の視点から、スープが麺の主張を補助する一杯という視点に切り替えても、かなり面白い(佐々木製麺所であるので仕入れ可能な気もする)
加水率30%以下の低加水は、スープが塩味の極清湯の為、合わないと思います

ピッタリはまる麺を提供となると試行錯誤の上での特注となり、製麺所に特注しなければならない為、ゲリラ限定が多い「こもれ美」には、こういった際の自家製麺では無い弱みがでてしまいます
「限定メニュー」における共通した麺の弱さが出てしまいますね


そして
またスープの話に戻りまして
中央の背脂をスープに混ぜ合わせると、コクが更にグッと増します
下支えだった豚骨清湯スープと鹿児島の背脂が、水を得た肴の如くお互い反応し合いスープ上で顔を出し始めます
そうすると
豚骨清湯の下支えと鹿児島の豚の良質な背脂の甘味が、主体となりスープ全体を支配し始め、逆にミネラル豊富で角のない優しい塩気と羅臼昆布の奥行は補助役へと変貌

この変化は、ある種、味覚が難しい味変である
全体と一部が真っ逆さま逆転する変化が味変に置かれている(笑)
解明明瞭なのは、単純に背脂の甘味が増えただけという所だけ…しかし、全体と一部というマクロミクロの視点で味わうと、ちょっと表現大袈裟だが、ビックバンが清湯スープ内で起きたかの如くの天変地異具合だ
主役が急に変わるのです
しかも、透明な極清湯スープの中において、急な変化が発生


完全にスープが主役の一杯
基本に忠実な組み合わせ「バランス系塩ラーメン」の無駄を更に削ぎ落とした「豚骨清湯と塩気だけのスープ」の一杯
考え方によっては「豚骨清湯スープに塩と昆布のカエシ」もしくは「カエシという発想は無く、<豚骨、塩、昆布>」のスープという見方も出来る
後者の「カエシ無しの塩と昆布のみの純豚骨清湯スープ」という発想が店主の思惑と、主観的には想定してしまうが、そこは不明

しかし
この「カエシ無しの塩と昆布のみの純豚骨清湯スープ」を、新しい分類に当てはめるとすると「水、豚、塩、昆布」の「豚のみ使用淡麗塩」とでもなるのでしょうか?「昆布の無化調豚塩そば」「純豚そば」のほうがしっくりくるか…

そういう意味では
バランス系において、それ以上は削ぎ落とせない所まで、落としきった驚異のスープだと思います

バランス系はありふれた組み合わせながら、ありふれた組み合わせが故に難しい
そういう意味で
バランス系ラーメンにおいて、目立った一杯となるには、普通の発想を真っ逆さまに逆転するようなセンスが必要とされる

…「水、鶏だけのスープ」とは違う引き算系です。こちらはあくまで「鶏そば」であって、バランス系では無い…

近年、流行りの「水、鶏だけのスープ」に醤油or塩のカエシで作る「鶏そば」に対抗する新ジャンル?にもなり得るか?
「水、豚だけのスープ」に醤油or塩のカエシで作る「純豚そば」(ネーミングはありふれ過ぎてますね(笑))という境地にまで至って欲しいと思える程のインパクトのある一杯でした

レギュラーメニューの「豚醤油らーめん」「豚塩らーめん」は鶏使用のバランス系の一杯です


ごちそうさまでした